The Journey of Shuna cover

The Journey of Shuna

4.00

宮崎駿が描き下ろしたオールカラーの絵物語。1982年「アニメージュ」にて『風の谷のナウシカ』の連載を開始したのとほぼ同時期に描かれた作品である。水彩の淡い色をいくつも重ねて着色した絵が美しい。 作物の育たない貧しい国の王子シュナは、大地に豊饒をもたらすという「金色の種」を求め、西へと旅に出る。つらい旅の途中、人間を売り買いする町で商品として売られている姉妹と出会う。彼女らを助けた後、ひとりでたどり着いた「神人の土地」で、金色の種を見つけるが…。どんな状況にあっても、生きようとする人間のたくましさ。強い心だけが生みだすことのできる、やさしさ。そして、弱さと無力さ。宮崎は、短い物語のなかに、そんなものを、ただそのまま描き出してみせる。

世界観の作りこみとそれを表現する絵の力は圧巻。特に「神人の土地」にあふれる虫、植物、巨人、月の造形には、一切の迷いが見らない。彼の頭のなかに広がる原風景を見せられているようで、生々しいほどの迫力に満ちている。死と生、喜びと恐怖の一体となったこの世界観は、以降の宮崎作品にも幾度となく登場する。

チベットの民話に感銘を受けた宮崎が「地味な企画」ということでアニメ化を断念し「自分なりの映像化」を行ったものが、本作である。だがアニメという万人に向けた形をとっていれば、また違うものになっていたはずだ。淡々と、厳かに物語が進行する本書の独特の雰囲気は、絵物語という形態であればこその魅力といえるだろう。(門倉紫麻)

Pages 249 Pages
Published June 15, 1983
Publisher Tokuma Shoten
Language English
Format ebook
ISBN —
ASIN B0DLT2X38D
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